サービスタイムと年俸の仕組み
MLBでは選手が1軍(メジャー)で過ごした時間をサービスタイムと呼び、年俸や権利の基準になります。1シーズン172日間が「1年分のサービスタイム」とみなされます。
| サービスタイム | 年俸の決め方 |
|---|---|
| 0〜2年 | 球団が一方的に決定(最低保証年俸:2026年は約72万ドル) |
| 3〜5年 | 年俸調停(選手と球団が交渉・仲裁) |
| 6年以上 | フリーエージェント(FA)資格取得 |
若い有望選手をわずか1日ルーキー昇格を遅らせることで「スーパー2」資格を避け、年俸調停に突入する時期を1年先送りするという球団の戦略も存在します。
実際の選手の年俸額は選手年俸ランキングで確認できます。
年俸調停(アービトレーション)
サービスタイム3〜5年の選手は年俸調停を受ける権利があります。選手と球団がそれぞれ希望年俸を提示し、合意できない場合は第三者の審判員が最終的にどちらかの金額を採用します(中間値は選べない)。
調停を避けるため、球団は早々に複数年契約を結ぶケースも多く、これをエクステンション(延長契約)と呼びます。フアン・ソトやノーラン・アレナドらが大型エクステンションを結んだことで知られています。
フリーエージェント(FA)と大型契約
サービスタイム6年を超えるとフリーエージェント(FA)となり、どの球団とも自由に交渉できます。毎オフシーズン(10月下旬〜)にFA市場が開かれ、世界中の球団が入札を行います。
近年の主な大型FA契約:
- 大谷翔平(ドジャース):10年7億ドル(約1,050億円)— 史上最大のスポーツ契約(2023年)
- フアン・ソト(メッツ):15年7億6,500万ドル(2024年)— 史上2位
- ダルビッシュ有(パドレス):6年1億8,000万ドル(2021年)
投手は故障リスクが高いため、野手と比べ長期・超大型契約は結ばれにくい傾向があります。
日本人選手のポスティングシステム
NPBの選手がMLBに移籍する場合、通常はポスティングシステム(入札制度)を利用します。NPB球団が「ポスティング申請」を行い、MLBコミッショナーが入札を受け付けます。落札したMLB球団のみが選手と交渉でき、合意すれば元の球団に移籍金(譲渡金)が支払われます。
2023年改正後は譲渡金の上限が2,000万ドルに設定されており、以前と比べて球団側の収益は下がりましたが、選手側の交渉力は高まりました。山本由伸のドジャース移籍(1億8,500万ドル)、佐々木朗希のドジャース移籍もポスティング経由でした。
なお、25歳未満の選手はポスティングができず、25歳を超えてからMLBに挑戦することが多いです。
贅沢税(CBT)と各球団の年俸総額
MLBには贅沢税(CBT:Competitive Balance Tax)という制度があり、チーム年俸総額が一定の閾値(2026年は約2億3,700万ドル)を超えると超過分に課税されます。これがMLBの「事実上の上限年俸制」として機能しており、大型補強を繰り返す球団には負担がかかります。
ドジャース・ニューヨーク・メッツなど大都市の資金力ある球団は贅沢税を払ってでも補強を続ける一方、小市場の球団(レイズ・パドレスなど)は若手育成やトレードで戦力を補います。