トレード期限とは?

MLBのトレード期限(Trade Deadline)は毎年7月31日で、この日の午後6時(東部時間)が「レギュラーシーズン中に40人ロースターに登録された選手を相互移籍させられる」最終期限です。この時間を過ぎると、ポストシーズンの出場資格がある選手のトレードはできなくなります。

トレード期限は夏の「補強の見せ場」として野球ファンの間で大きな注目を集めます。数時間のうちに複数のビッグトレードが成立することも珍しくなく、SNSでリアルタイムに情報が飛び交う一大イベントです。

今シーズン実際に成立したトレードはトレードデッドライン特設ページで日付順にまとめています。日本人選手が絡む移籍動向も随時更新しています。

バイヤー(買い手)とセラー(売り手)

トレード期限のチームは大きく「バイヤー(補強側)」と「セラー(放出側)」に分かれます。

  • バイヤー(Buyer):ポストシーズン争いに参加しているチームが、即戦力の選手を獲得するために「若手有望株(prospect)」を差し出す側。例:ポストシーズン争い中のドジャースがシーズン途中にリリーフ投手を補強する
  • セラー(Seller):ポストシーズン進出が厳しいチームが、今季中に契約が終わる(FAになる)ベテラン選手を放出し、代わりに若手有望株を受け取って将来の戦力を充実させる側
  • ニュートラル(Neutral):どちらとも言えない順位のチーム。状況によって補強・放出どちらにも対応

セラーになることを「再建モード(Rebuild)」「タンク(Tank)」とも呼び、意図的に今季を捨てて将来のドラフト指名権と有望株獲得を優先する戦略です。

プロスペクト(有望株)とは?

トレードではメジャー選手同士の交換だけでなく、マイナーリーグの有望若手選手(プロスペクト)が「通貨」として使われます。各球団の有望株は専門メディア(Baseball America・FanGraphsなど)がランキングを発表しており、「トップ100有望株」は高い価値を持ちます。

例えば「Aチームがベテランの先発投手をBチームに放出し、代わりにBチームのトップ有望株3人を受け取る」というトレードが典型的なセラーの動きです。この場合Aチームは今季の戦力を落としつつ、3〜5年後の戦力を充実させます。

日本のプロ野球では選手間のトレードが主流ですが、MLBのトレードは「今の即戦力 vs. 将来の有望株」という異なる価値観の交換が基本です。

日本人選手とトレード期限

日本からMLBに移籍した選手は、契約内容によってトレードの対象になりうるかが異なります。

  • ポスティングシステム経由の選手:通常の契約なのでトレード可能。ただし大型契約(例:大谷翔平の7億ドル超)では現実的にトレードは難しい
  • マイナー契約から這い上がった選手:通常のメジャー選手と同様にトレード可能
  • NTCやNMTC保有の選手:No-Trade Clause(NTC)があると選手が拒否権を持つ

トレード期限の直前には「○○がトレード候補」というルーモア(噂)が大量に出回ります。日本語のMLBメディアを追うだけでなく、MLB Trade RumorsやThe Athletic(英語)をフォローすると詳細な情報が得られます。

FAとトレードの違い

MLBには「FA(フリーエージェント)」と「トレード」という2種類の選手移籍方法があります。

比較項目トレードFA(フリーエージェント)
タイミング年間を通じて(7月31日期限)主にシーズン終了後(10月〜)
選手の意思基本的に球団が決定(NTCがない限り)選手が自由に移籍先を選べる
対価他の選手・有望株との交換なし(移籍先の年俸交渉のみ)
MLB年俸前の契約がそのまま続く新規契約で大幅に上昇することが多い

山本由伸・佐々木朗希・大谷翔平はすべてポスティングシステム(FA的な海外移籍制度)でMLBに移籍しました。MLBのFAには通常「サービスタイム(在籍年数)」が一定以上必要で、メジャー6年以上が目安です。