勝利投手が決まる仕組み

勝利投手(W)は、自チームがリードを奪った後にそのまま試合に勝った場合、そのリードを作った時点で投げていた投手に与えられる。ただし先発投手には追加条件がある。

  • 先発投手が勝利投手になる条件:9回制の試合で最低5イニングを投げ切り、降板時点でチームがリードしたまま試合終了まで逆転されないこと
  • 先発投手がこの条件を満たさずに降板した場合、公式記録員(Official Scorer)が「最も効果的な投球をしたリリーフ投手」に勝利を付与する

近年増えている「オープナー」戦術(本来のリリーフ投手が1回だけ先発する起用法)では、5イニング未満で降板することが多いため、後続の投手に勝利が付与されるケースが頻発する。リリーフ投手完全解説も参照。

敗戦投手が決まる仕組み

敗戦投手(L)は、相手チームに「決勝点」(最終的に逆転されずに残るリード)を許した時点でマウンドに立っていた投手に与えられる。たとえ味方の失策が絡んでいても、その失点が自責点として記録されない場合でも敗戦は付く。

1点差の接戦で継投した場合、どの投手が決勝点を許したかが明確なため敗戦投手の特定は比較的シンプルだが、乱打戦でリードが何度も入れ替わる試合では、どの時点のリードが「最終的に守り切られたリード」かを公式記録員が慎重に判定する。

セーブ(SV)の3つの条件

セーブは、勝っている試合を締めくくったリリーフ投手に与えられる記録で、以下いずれかの条件を満たす必要がある。

  1. 3点差以内の状況で登板し、試合を最後まで投げ切った
  2. 登板時に打席・次打者・その次の打者のいずれかが同点になりうる走者だった(僅差の場面での登板)
  3. 3イニング以上を投げて試合を終了させた

加えて「勝利投手にならないこと」も条件のひとつ。セーブの詳しい評価基準・現代的な見方は用語集「SV(セーブ)」で解説している。

ホールド(HOLD)とブローンセーブ(BS)とは

ホールド(HOLD)は、セーブの条件を満たす場面でリードを保ったまま次の投手に引き継いだ中継ぎ投手に記録される。ただしMLB公式記録ではなく、Elias Sports Bureauなどの民間集計や各種データサイトが独自に算出する非公式スタッツという位置付けだ。セットアッパーの評価指標として広く使われている。

ブローンセーブ(BS・セーブ失敗)は、セーブがつく場面で登板しながら同点または逆転を許した場合に記録される。クローザーの実力を測る際は、セーブ数だけでなくブローンセーブ率も合わせて確認すると精度が高い。

ノーディシジョン・完投・シャットアウトなどの特殊記録

ノーディシジョン(ND)は、先発投手が試合終了時点で勝敗どちらもつかなかった場合の状態。同点で降板し、その後にチームが逆転勝ち・逆転負けした場合などに発生する。ERAやFIPなどの指標には影響するが、勝敗数には反映されない。

完投(CG)は1人の投手が試合の最初から最後まで投げ切ること、その中で無失点に抑えた場合は完封(SHO)となる。継投が主流の現代MLBでは完投数自体が年々減少しており、貴重な記録として扱われる。先発ローテーション解説ERAの用語集ページも参照。